「参加者3人」の単独ウェビナー ── 知っていても、やれなかった
――当時、どんなことに悩んでいましたか。
中山カラクリは、AIチャットボットやFAQ、顧客管理の基盤など、カスタマーサポート全般のサービスを提供しています。2024年は、新規事業で生成AIを使ったプロダクトを「どう売るか」に悩んでいました。マーケティングチームは既存のメインプロダクトに集中していたので、新規プロダクトは私が自分で回すしかありません。でも、私はもともとエンジニアで、発信もしてこなかったタイプです。ウェビナーを開いても参加者は10人、5人、3人。気まずいですよね(笑)。
――そこで外部のプロ人材を入れようと考えたのですね。
中山外部活用についても、右も左も分からずどこを信用して良いかも分かりませんでした。ただ、やってみないと分からない。Kamonさんに紹介していただいて茂木さんとお話ししたら、とても知見があり慣れている感じがしました。当時でウェビナーを300本ほど支援されていたと聞いて、信頼できると思いました。
転機は「どこと組むか」
── プロが最初に持ち込んだ共催という提案
――茂木様は、最初にお話を聞いて、どう感じましたか。
茂木集客は絶対できると思いました。競合他社を分析した所、共催ウェビナーをやっていて、カラクリさんはやっていなかったんです。理由を聞くと特にないということだったので、「やりましょう」と。共催なら、共催先のハウスリストも活用することができます。
結果、自社開催と共催をうまく使い分けて月間でウェビナーの参加者が平均で数百名とそれに応じて商談機会も数十件がコンスタントに獲得できるようになったと記憶しています。生成AIのトレンドに事業が乗っていたことも、追い風だったと思います。
中山茂木さんには集客ページの作り方も、一から見せてもらいました。なぜ集客できないのかを分析し、集客できるページを一緒に考える。言われれば当たり前かもしれませんが、やったことがないと、どうすればいいか分からないんです。
社内にも、やり方を知っている人はいたと思います。でも、知っているからといって、やれるわけではない。実際にやってきた人は、その一歩を簡単に踏み越えられます。専門家がいるからこそ手を出せた施策ばかりでした。
競合と役員対談 ── 「遊び心」が記憶に残る
――特に印象に残っている企画はありますか。
茂木競合にあたる会社の役員と対談するウェビナーです。ジャンルが近い会社同士で対立構造の企画は盛り上がりますし、集客もできます。ただ、どちらも良いですねで終わると物足りないし、共催先のハウスリストを食い合う心配もあります。そこで、お互いが訴求する製品を少しずらして設計しました。
中山あれは今でもお客様から「やっていましたね」と言われます。ウェビナーは普通すぐ忘れられるのに、ちゃんと記憶に残っている。私たちの業界はお客様も硬い会社が多く、エンタメ性は意識してこなかったので、自分たちからは出てこない発想でした。
茂木過去の良かったコンテンツを小分けにして出す「再放送」も提案しました。ウェビナーは1回やって終わりではもったいないんです。
台本より熱量 ── 技術者が自分の言葉で語る
――競合が多い領域で、埋もれないために大事なことは。
茂木構成内容よりも、登壇者です。他社の多くは営業担当が形式ばったプレゼンをしていました。中山さんは技術を一番よく分かっている方で、海外から帰ってきた話から本題に入るような、自分の言葉の具体的なストーリーで話されていました。解像度が明らかに違うので、お客様から選ばれる確率も高かったと思います。
成果を分けるのは熱量です。視聴者は「台本を読んでいるな」とすぐ気づきます。構成はつくりつつ、脱線は歓迎。モデレーターが流れを管理すれば、登壇者は素の自分でいた方がいいんです。以前支援した会社では、5人の登壇者が同じ構成で話しても、登壇者によって商談設定率が違いました。
「呼ばれる側」へ
── 月2回の共催依頼と、自分たちで回せる型
――自分たちで回せると感じたのは、いつ頃でしたか。
中山共催の誘いが外から月2回ほど来るようになった頃です。当時は週1回ほどウェビナーをしていましたが、その半分ほどが「呼ばれる側」で埋まるようになりました。
並行して、茂木さんが社内のメンバーに直接フィードバックしながら改善を回し、ページを作って集客する流れが型になっていきました。
茂木共催を続けていると、「共催をやっている会社」として業界で知られ、他社のオンラインカンファレンスにも呼ばれるようになります。自分から声をかけなくても連絡が来るのは大きい。そこにたどり着くには、まず自分たちで主催し続けることが必要なんです。
――社内に残すために、意識していたことはありますか。
茂木正直、最初は離れることより結果を考えていました。ただ、集客ページは最初からカラクリさんのドメインの下で作っていただき、私は文章や素材を渡す形にしていました。この形だと社内に移しやすく、一度作ったページやサムネイル、集客メールはずっと使えます。共催先とはチャットグループを作り、カラクリさんが直接やりとりできるようにしていました。
中山内製化は最初からのゴールではありませんでした。成果が出たことで既存のマーケティングの人たちにも認めてもらい、一緒にやる流れになって、結果として一部を内製化できた、というのが実態です。
支援が終わったのは、体調を崩して声が出なくなった時期があったり、担当が変わったりといった私の事情でした。続けていただいていたら、さらに価値を出していただけたと今でも思います。
1年の集大成、自社テックカンファレンス
── 人脈をフル活用する理由ができる
――1年の最後には、自社主催のカンファレンスも開かれました。
中山ただウェビナーによる集客を行うだけでなく、会社の根っこにある基礎研究の技術力の強みを、ブランドとして発信したかったんです。各社のCTOや、AI政策に関わる方、大学の先生などに登壇していただき、私が司会をしました。登壇をお願いしたい人には、SNSや問い合わせフォームからも連絡しました。そこから生まれたつながりやプロジェクトもあります。
茂木大きな自社イベントは、普段声をかけない人に声をかける理由になります。しばらく会えていなかったお客様の掘り起こしにもなるし、「成功させなきゃ」という気持ちが普段しない行動を生む。人脈をフル活用できるのが、大規模イベントの良さです。
伴走で残ったもの
── 「ウェビナーの方ですよね」が商談を有利にする
――1年間の伴走で、何が残りましたか。
中山数字で言えば、集客は少なくとも月数百件はでき、ハウスリストは桁が一つ変わりました。新規プロダクトは、ほぼウェビナーだけでリードを集めていたと言っていいくらいです。
数字以外では、まず大量の資料です。毎週必ず新しい話をすると決めていたので、今も使い回せるアウトプットが残りました。
それから、私自身が知られるようになりました。商談の場で「ウェビナーの方ですよね」と言われるだけで、商談はかなり有利になります。登壇の依頼も来るようになりました。
社内では、何を考えているか分からないと言われがちだった私の考えが、発信を通じて伝わるようになりました。「これを題材にしたい」「こういうウェビナーをやってほしい」という相談が、社内から私のところに来るようになったんです。それまではほとんどなかったことです。
プロ人材に依頼するなら
── 任せきりにせず、自分のプロジェクトとして持つ
――社内に専門人材がいない領域で、プロ人材の活用を迷っている企業へ一言お願いします。
中山新しいことに踏み出すなら、専門のプロ人材を入れた方がいいのは間違いありません。積極的に活用すべきだと考えています。ただし、任せればうまくいくわけではない。自分のプロジェクトとして責任を持つ主体性が大事です。できれば現場任せにせず、経営層もコミットした方がいいと思います。
――茂木様から見て、プロ人材と組んで成果を出しやすいのはどんな会社ですか。
茂木丸投げでなく一緒に進めてくれる会社は成果が出やすいです。業界の解像度は当然社内の方が詳しいので、提案した内容について「この企画は刺さる」と最終判断で後押ししてもらえると助かります。加えて、「ウェビナーに登壇したい」という社員が多くいる会社は、本当にやりやすいし、成果が出ていらっしゃいますね。
ウェビナーで「呼ばれる側」を目指すためのチェックリスト
お二人のお話をもとに、ウェビナーを集客の柱に育てたい企業が確認しておきたいポイントをまとめました。
- 単独開催にこだわらず、共催で他社のリストに届ける手段を持っているか
- 自分の言葉で語れる登壇者を立てているか
- ページやテンプレート、共催先とのつながりを自社の資産として残しているか
- プロに任せる範囲と、自社で最終判断する範囲を分けているか
- 経営層や関係部署を早い段階で巻き込めているか
1年間の伴走を終えて ── お互いへの一言
――最後に、お互いへの一言をお願いします。
茂木何を提案しても「やってみよう」と言ってくださったので、本当にやりやすかったです。登壇者が中山さんでよかったです。
中山右も左も分からない中で、親身に話を聞いて、主体的に動いていただきました。本当に助かりました。
――本日はありがとうございました。

